9.関節リウマチ
関節リウマチとは?
リウマチは自己免疫疾患で、全身の関節、骨、筋肉、靭帯、腱などが傷害される病気の総称です。自己免疫疾患とは、自分の体の一部を自分のものではないとして、これに対する抗体をつくって反応をおこしてしまう病気です。
関節リウマチの原因としては、遺伝や細菌・ウイルスの感染などが考えられていますが、まだよくわかっていません。
リウマチの中には、関節リウマチ、リウマチ性多発筋痛症、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデスなどがあり、その中でも関節リウマチは最も頻度が高い疾患です。どの年代でもおこりますが、特に30~40歳代の女性に多く発症します。関節リウマチでは、関節の滑膜という組織に反応がおこります。反応を起こした滑膜は、しだいに軟骨や骨を破壊していきます。
関節リウマチの症状
初期症状
- 全身倦怠感や不快感
- 手足の痛みやこわばり
- 手指や足指の関節が左右対称に腫れる
中期の症状
通常は小さな関節から症状がはじまりますが、次第に膝や股関節などの大きな関節にも症状がでてきます。また全身の病気であるため、貧血や発熱を伴うことがあります。
後期の症状
全身の関節に症状が進行していく場合には、指や手首の関節の破壊のため指が短くなり、変形することがあります。また背骨の関節にも障害がおよぶと、神経が圧迫されて手足が麻痺する場合があります。重症の場合には、関節は固まったり、逆にゆるんで大きく変形したりします。
変形した手
診断方法
アメリカリウマチ学会の診断基準(1987)で診断します。
1. 1時間以上持続する朝のこわばり(6週間以上)
2. 3カ所以上の関節の腫れ(6週間以上)
3. 手の関節炎(6週間以上)
4. 対称性関節炎
5. 皮下結節
6. 血清リウマトイド因子
7. レントゲン写真上の変化
これらのうち、4項目以上あてはまる場合、関節リウマチと診断します。
関節リウマチの治療
薬物療法
- 炎症を抑えるステロイド剤や非ステロイド性消炎剤
- リウマチ反応を抑える抗リウマチ剤や免疫抑制剤、生物学的製剤
- ステロイドの関節内注射
リハビリテーション療法
- 炎症のある関節を一時的に固定し、装具などで支える(装具療法)
- 温めたり圧迫して痛みや腫れを減らす(物理療法)
- 筋肉をつけ、こわばった関節を柔らかくする(運動療法)
手術療法
比較的症状が軽い状態で経過する場合が多いですが、炎症が長い間持続すると、ときに手術が必要になる場合があります。
- 内視鏡で観察しながら関節の中を洗浄したり、炎症の起こった滑膜を切除する(滑膜切除術)
- 断裂した腱を修復する(腱移行術、腱移植術)
- 関節がゆるんでいる場合に、使いやすい位置で固定する(関節固定術)
- 破壊された関節を人工関節で置き換える(人工関節置換術)
人工膝関節置換術