2.肩腱板断裂
症状
40歳以上の男性、右肩に好発します。発症年齢のピークは60代です。肩の運動障害・運動痛・夜間痛が特徴です。
痛みはありますが肩の挙上は可能なケースが多く、挙上するときに力が入らない、ジョリジョリという軋轢音がするという訴えもあります。
MRIで断裂部が明らかになりますが、最近では高性能の超音波診断装置でも手軽に診断が可能です。
治療
保存療法
急性外傷で始まった時には、三角巾で1~2週間安静固定します。断裂部が治癒することはありませんが、70%は保存療法で症状が軽快します。保存療法では、注射療法と運動療法が行なわれます。
炎症の急性期には水溶性副腎皮質ホルモンと局所麻酔剤を肩峰下滑液包内に注射しますが、夜間痛がなくなればヒアルロン酸の注射に切り替えます。腱板のすべてが断裂することは少ないので、残っている腱板の機能を賦活させる腱板機能訓練は有効です。
手術療法
保存療法で肩関節痛と運動障害が治らないときは、手術を行ないます。手術には、内視鏡を用いた手術(関節鏡視下手術)と通常の直視下手術があります。
関節鏡視下手術の方が低侵襲で、手術後の痛みが少ないので普及してきていますが、大きな断裂では縫合が難しいので、直視下手術を選択するほうが無難です。
どちらの手術も、手術後は、約4週間の固定と2~3ヵ月の機能訓練が必要です。