15.反復性膝蓋骨脱臼
症状
膝蓋骨が外側に脱臼することにより、膝の痛みや腫れが生じます。脱臼を繰り返すようになると痛みや腫れなどは少なくなり、不安定感を強く訴えます。
脱臼は10歳代の女性に生じることが多く、その後20~50%の方が繰り返し脱臼をきたすようになります(反復性脱臼)。また脱臼や整復の際に膝蓋骨や大腿骨の関節面の一部が骨折することがあります。
原因
ジャンプの着地などで、膝を伸ばす太ももの筋肉(大腿四頭筋)が強く収縮したときに起こります。膝蓋骨は外側に脱臼することがほとんどで、自然に整復されることも少なくありません。
生まれつきの素因を持っていることが多く、膝蓋骨や大腿骨の形の異常、大腿四頭筋の作用する方向と膝蓋靭帯の方向が異なっていることなどがあげられます。
予防と治療
初回脱臼で骨折がない場合は、整復をした後に外固定などの一般的な処置が必要です。
反復性脱臼や、初回脱臼でも脱臼しやすい素因が明らかで、反復性脱臼になる可能性が高い場合や骨片のある場合には手術が勧められます。手術を行わない場合には、脱臼しにくくするための装具を用いる場合もあります。
治療方針は年齢や病態などによってさまざまですので、担当医とよく相談して決めることが大切です。
スポーツ復帰は、膝の痛み、腫れ、運動制限が消失し、筋力が回復してからです。通常は2ヵ月以上かかります。手術を受けた場合は、手術方法にもよりますが、3~6ヵ月はかかります。
※日本整形外科学会「スポーツ損傷シリーズ 12」から画像を引用しております。