3.膝靭帯損傷(前十字/後十字靭帯損傷・内側/外側側副靭帯損傷)
症状
受傷後3週間くらいには膝の痛みと可動域制限がみられます。しばらくして腫れが目立ってくることもあります。
急性期を過ぎると痛み、腫れ、可動域制限はいずれも軽快してきます。しかし膝の不安定感が徐々に目立ってくる場合があり、下り坂やひねり動作の際にはっきりします。
不安定感があるまま放置しておくと半月損傷や軟骨損傷などを生じ、慢性的な痛みや腫れの原因となります。
原因
スポーツ外傷や交通事故などで大きな力が膝に加わった時に、その外力の方向に応じて種々の靭帯損傷を生じます。
予防と治療
保存療法
装具(サポーター)を装着して早期から痛みのない範囲で可動域訓練を行い、筋力低下を最小限にとどめるようにします。初期は疼痛緩和と安静を兼ねて固定を行うこともあります。
内側側副靭帯損傷では多くの場合保存的に治癒しますが、前十字靭帯損傷ではその可能性は低くなり手術を選択することが多くなります。
後十字靭帯単独損傷の場合には多少の緩みが残ってもスポーツ活動に支障をきたさないことが多いことから、まずは保存療法を行います。
手術療法
手術療法には靭帯修復術と再建術の2通りがあります。前十字靭帯の治療は自家組織(ハムストリング腱や膝蓋腱など)を用いた再建術が一般的です。
手術は関節鏡を用いて、低侵襲で行います。術後は3~6ヵ月程度のリハビリを行い、徐々にスポーツ復帰となります。
※日本整形外科学会「整形外科シリーズ 14」から画像を引用しております。