肺血栓塞栓症は、手術や入院安静などの後に呼吸困難や胸部痛ではじまり、重篤な場合は死にいたる合併症です。
長時間の航空機搭乗や、災害時に自家用車に長時間避難していて生じたという報告もあります。いわゆる「エコノミークラス症候群」です。
安静にしていると静脈の流れが遅くなり、下肢の静脈の中で血液が固まることがあります。これを「深部静脈血栓症」といい、血液の塊(血栓)が流れて肺動脈に詰まったものが「肺血栓塞栓症」です。
大きな血栓が詰まると救命が難しくなります。
早期の歩行が最大の予防です。ベッド上での安静期間には足首をしっかり動かすことが必要です。弾性ストッキングや空気圧迫装置も一定の予防効果があります。
血栓症を起こしやすいと考えられている膝や股関節の人工関節の手術では、血液を固まりにくくする「抗凝固薬」を術後に使用する場合があります。抗凝固薬で出血の合併症が生じる可能性はありますが、血栓症を減らすことが知られています。